「グノシーの株価が急落した理由は?」
「今後の業績などはどうなりそう?」
そんな人に向けてFP保有のくまお教授がニュースサイトを運営する「Gunosy(6047)」の解説をしていきます( •̀∀•́ )b
株価情報
- 株価:792円前後
- 業績:売上150億円、営業利益23億円
- 株主優待:なし
- 配当利回り:なし
- ROE:21%
- PER:33倍
- PBR:1.74倍
目次
グノシーの株価は急落
まずは株価チャートがどんな動きをしているのか見ていきましょう。
✓月足チャート(2015年〜)
2015年の上場以来しばらく下げて、その後2017年頃の急激にあげました。一番高いときで3,500円を超すときも。
その後しばらく上下した後に2019年から現在にかけて1,000円を割り込むほどに急落しています。
上場してあまり経っていない会社にありがちなチャートです。
✓日足チャート
ここ最近はずっと下げ基調です。
さらに2020年4月に発表した決算予想が悪かったことで回復の機会を失っています。
✓日経平均と比較した月足チャート
日経とあまり相関関係は見られないと言っていいでしょう。
チャート単体で見るよりも、日経平均株価と比べたほうが市場との連動性がよく分かるので比較しました。
*実数ではなく上限比率で比較したチャートです。
グノシー株急落の要因は業績の悪化予想のため
先ほどの内容で株価が落ちていることがわかりました。
その理由は2020年4月14日に発表された決算で、次回の決算(2020年5月期)が下方修正されたからです。
特にグノシーのようなベンチャー企業の場合は、毎年大幅に前年の売上を上回ると期待されています。
その期待を含めてたくさん買われているので、業績が下回ってしまうと株価が勢い良く落ちてしまうのは仕方がありません。
ここからは知っておきたい業績を一通りグラフにしてみました。
*業績は決算月である5月時点でのものです
*2014年以前の業績は株式公開前のデータ
✓売上高
上場したのは2015年ですが、それ以前の業績も参考までに載せてあります。
株式公開以降、ずっと右肩成長を続けてきました。
しかし次期決算は前年度を下回る予想となっています。
✓営業利益
営業利益も順調に伸ばしています。
しかし2020年5月期の予想は大幅に下げる予想です。
下記に表でもまとめました。
✓営業利益率(売上高営業利益率)
営業利益率は2017年までは上昇傾向にありましたが、それ以降は下がってしまっています。
ちなみに経済産業省によると、売上高営業利益率の平均は
- 全業種平均は4.1%
- 情報処理・提供サービス業の平均は8.2%
- インターネット附随サービス業だと19.9%
となっています。
営業利益率の数字が高いほどライバルに対して優位に事業をこなせていることを表します。重要な指標です。
✓ROE
10%を超えているかが基準になり、グノシーは超えたり超えなかったりと安定感はないですね。
来期は10%を割る見込みです。
ROEと「企業が私たちが投資した資金を使ってどれほど効率的に利益を生んでいるか」を表します。重要な指標です。
✓EPS
2019年は大きく上昇しましたが、来期はまた下がりそうです。
EPSは「1株あたりの純利益」。投資家の資金を使ってどれだけ高い効率で利益を出しているかを表します。年々増えているのが理想とされています。重要な指標です。
✓BPS
BPSは堅調な上がり方をしています。
✓フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローも基本問題なさそうです。
フリーキャッシュフローとは営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた数字。手元に残った自由に使えるお金です。
✓現金等残高
2019年は7,954(単位:百万円)を残しているので余裕はあります。
現金比率は37.95%。有利子負債は1.68です。
現金等残高とは「営業CF、投資CF、財務CFの動きの結果、手元に残った現金および預金や3カ月以内の短期投資など現金同等物の期末残高」です。
✓自己資本比率(%)
28.0%と物足りない数字です。
40~60%あれば優良企業と言われることが多いです。
業績低迷の理由をグノシーのビジネスモデルから解説
グノシーの業績悪化の理由は売上の大半が広告だからです(´ºωº`)
いまは新コロの影響で多くの企業が広告費用を出したくないと考えるため、かなり減っています。
一部を除き、業績が悪化している企業がほとんどです。
そんなときはできるだけ予算を減らしたいと考えます。まっすぐに削減されるのは広告費ですからね。
好景気のときは広告が盛り上がる一方で、不景気のときは一気に落ち込んでしまうのが恐いところです。
ここからは改めてグノシーがどうやって利益を得ている会社か説明していきます。
事業内容はキュレーションサイト
運営しているサービスを整理しました。
いずれもスマホアプリです。
サービス名 | 内容 | |
1 | グノシー | 情報キュレーションサービスで広く情報を発信 |
2 | ニュースパス | KDDIと提携した情報キュレーションサービス |
3 | LUCRA(ルクラ) | ファンション、コスメ、恋愛など女性のためのトレンド情報を配信 |
4 | グノシースポーツ(グノスポ) | スポーツに特化した情報を配信 |
5 | オトクル | お得なクーポンを配信 |
各サービスとともに順調に伸びています( *˙ω˙*)و
あとは子会社としてこちらがあります。
サービス名 | 内容 | |
1 | Game8(ゲームエイト | ゲーム・アプリの総合攻略サイト |
2 | digwell | アフィリエイト事業(ASP)。複数サイトに広告をまとめて提供。 |
3 | VID POOL | 動画広告を提供 |
4 | Grill(グリル) | リサーチ、コンサルにより位企業のマーケティングを支援 |
5 | Smarprise | スマホ課金者向けゲームプラットフォーム。ゲームエイトの子会社なので、グノシーの孫会社にあたる |
Grill(グリル)以外は100%子会社です。
子会社の売上もグノシーに直結することを考えるとしっかり理解しておく必要があります(。•̀ω-)b
売上の割合で子会社が占めるものがけっこう大きいからです。
ビジネスモデルは広告で成り立つ←重要
どうやって売上を立てているのか、ビジネスモデルはこちらです。
*出典 Gunosy有価証券報告書
上記はちょっとわかりづらいかもしれないので、こちらはざっくりイメージが分かれば問題ないです。
で何によって売上を立てているのかみていきます。
1番多いのがGunosy Ads、次にADNWとなっています。
とりあえずほぼ全部広告費による収入だと思ってもらっていいです\( *´ω`* )/
ただこの内容だと横文字ばかりで結局なんなのかわかりづらいのでちょっと説明を補足していきます。
①Gunosy Ads
グノシーの売上のメインがこれ。
グノシーやニュースパスといったニュースアプリ内で配信される広告による売上です。
企業に「これ載せてください」と言われたものを掲載して、クリックした分とか掲載した期間に応じて報酬をもらいます。
②ADNW
*出典 2020年5月期 第3四半期グノシー決算説明資料
グノシーの売上で実は結構多くを占めるもの。
たぶんADNWといってもみなさんわかりづらくてなんのことかよくわからないと思います。
ADNWとはアドネットワークの略です。アドセンスを知っている人はアドセンスみたいなものだと思ってもらえばいいです。
画像で説明するとこんな感じ
*出典 Gunosy2015決算資料
つまりグノシー以外のサイトに広告を載せてあげますというサービス。
色々なサイトに広告を載せるのを一括でグノシーが管理します。
広告主としてはグノシーにまとめて任せれば、あとは勝手に色々なサイトで広告を出してくれるのでラクというわけです。
公式情報では載っていませんでしたが、この事業はほぼ間違いなくdigwell、vidpoolといった子会社で実質やっているものでしょう。
②ゲームエイト
*出典 2020年5月期 第3四半期グノシー決算説明資料
子会社のGame8による売上です。
詳細は決算資料にも有価証券報告書にもなかったですが、広告収入がほとんどでしょう。
ゲームの攻略情報をまとめたサイトで、それを見た人が広告をクリックしてくれたものが収入となるんだと思います。
これら紹介してきた3つの事業で広告を依頼してくれる取引先は1,000を超えているそうです。けっこう前の情報でそれくらいの数はあったのでいまはもっともっと増えていると思います。
会社概要:東大卒のベンチャーから生まれた
IR情報をベースに会社概要もまとめておきます。
内容 | |
創業 | 2012年創業、2013年よりグノシーアプリをリリース |
本社 | 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル |
社長 | 竹谷 祐哉 |
従業員 | 223人(連結175人) |
平均年齢 | 30.5歳 |
平均勤続年数 | 1.8年 |
平均年収 | 600万円 |
上場遍歴 | 2015年マザーズ、2017年東証1部上場 |
*2019年11月時点
グノシーは福島良典さんが東京大学大学院中に創業。いまはLayerXというブロックチェーン関連の社長をしています。
いまは竹谷祐哉さんが社長となりました。
経歴は早稲田大学卒業
→グリー株式会社
→取締役最高執行責任者
→2018年、代表取締役最高経営責任者(社長)
という経歴です。
主な取引先は?
- セプテーニ
- サイバーエージェント
- サイバー・コミュニケーションズ
- app2go
- CyberZ
- ワンオブゼム
- I&Gパートナーズ
グノシーの株主優待と配当金
グノシーは株主優待も配当金はありません。
優待だけないとかはよくありますけど、配当金がないのは珍しいですね。
株で得た利益はすべて事業に使うという意思表示でしょう。
そうなるとグノシー株はインカムゲイン向きではなく、明らかにキャピタルゲイン向けですね。
グノシーの株価は割高か検証
データ面、事業戦略面の両方から今の株価が高すぎるかそうでないか見ていきます。
PER(株価収益率)は低下傾向
こちらのグラフがグノシーの過去のPERです。
対して、2020年のいまの段階だと33.01倍です!
ベンチャーあるあるとして上場直後はやたら高かったんですけど、いまはだいぶ下がりましたね。
とはいえまだ割安という感じではありません。
ただベンチャーは1年ごとの実績の伸びが凄まじいことがあるので、基本的にPERが高いことのほうが多いです。
ちなみに2020年3月時点の情報・通信業(東証1部)の平均PERは24.1倍です。
業者問わずの全社(東証1部)は14.5倍。
一般論では15倍以下が割安と言われています。私は企業によって適正値は違うと思っているのでビジネスモデルや推移で判断するケースが多いです。
PBR(株価純資産倍率)もひたすら上昇中
こちらが過去のPBRです。
対して、2020年のいまの段階だと1.74倍とかなり下がっています!
過去の水準からみると今は1番低いです。
ちなみに2020年3月時点の情報・通信業(東証1部)の平均PBRは2.1倍です。
業者問わずの全社(東証1部)は1倍。
PBRとは企業の持っている純資産から見た株価の割安度を表す数値で、安いほうが良いです。一般的には1倍を切ると安いと言われますけど、過去の推移を考えるべきです。
ちなみにみんかぶでは目標株価が1,788円となっています。
事業成長面
✓短期予想
短期でみると、新コロさんの影響はかなり受けますね。
実際に業績も下方修正されていますし。
どこまで長引くかによって大きく業績が変動します。
いずれにせよ広告費は減りますが、利用者数は変わらず伸び続けるでしょう。
直近は以下のようなコスト削減で耐えるみたいです。
あとは今のコロチャンショックであまり影響を受けていない広告主の分野を増やすなどもしているようです。
*出典 2020年5月期 第3四半期グノシー決算説明資料
✓中長期予想
正直中期でも新コロの影響は受けたままだと思います。
広告の売上って一回企業が予算を落とすと、元に戻りづらいんですよね。
どうしても警戒されちゃって、コスト削減の方向に動くからです。
感染が減ったとしても当面は広告費が以前のように獲得しづらくなってくるでしょう。
今後の戦略として打ち出しているのが以下です。
*出典 2020年5月期 第3四半期グノシー決算説明資料
特に赤色の箇所ですね。
Gunosy Tech Labというのは他社と協力して色々ビジネスをやっていくものです。
いまのところはグノシーのデータ活用技術を他社の企業活動で応用できないか色々頑張っているみたいです。
あとは投資事業ですね。
広告に依存しない形で新たな事業にどんどん参入していってほしいと思います。
個人的な考え
有料コンテンツを作れたらいいですけどね。
自社で課金システムを作るのが安定的な収益には1番だと思います。
たとえばクックパッドとかアマゾン、Youtubeもユーザーを一通り集めたあとに、プレミアム会員を設定していますよね。
「強力な自社コンテンツを作る→有料会員になってもらう」ことを各社奔走しているので、グノシーもなにかやってもいいと思います。
ただもしかしたらまだまだシェアがそんなにないので、課金をやるのはまだ早く今はむしろ利用者を増やすフェーズと考えている可能性もありますね。
懸念するリスク
今後考えられる事業リスクは大きく2つです。
- ライバルが多い
- 売上のほとんどを広告に依存
①ライバルが多い
WEB上で情報配信をしているサイトはほぼ全てライバルといっていいです。
スマートニュース、NewsPicksなどはもちろん、各新聞社、出版社、WEBメディア、動画サイト、ブログ等々。
ライバルの数が尋常でない上に、市場の変化スピードがとても早いので合わせて成長してく必要があります。
②売上のほとんどを広告に依存している
グノシー側は比率を明確にしてはいませんが、ほとんどが広告による売上です。
広告は外部環境に影響される度合いが非常に大きいため、その他の事業の収益も増やして安定化を図っていく必要があります。
さいごに
この記事ではグノシーの株価や優待の分析をしてきました(*ˊᗜˋ*)
評価 | 概要 | |
営業利益 | △ | 来期は前年を下回る予想 |
利益率 | ◯ | 15%だが、来期は大幅に下げる予想 |
ROE | △ | あまり安定せず10%を割ることが多い |
EPS | △ | 上下に繰り返し安定せず |
フリーCF | ◯ | 問題なし |
株主優待 | ✗ | なし |
配当金 | ✗ | なし |
PER | △ | 30を超えていて高い |
現状の株価は792円。
単元は100株からしか買えないので、最低購入金額は79,200円と安めに買えます。
100株単位で買えるぞって方は以下の証券会社がおすすめです。
とりあえず上記の2つにしておけばまず間違いありません。
詳しい理由は以下記事でも書いてます。
-
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