「イオンの株価はどう?今後どうなるか予想は?」
「直近の株主優待の詳細を知りたい」
そんな人に向けてFP保有のくまお教授(@kumao__kumao)が「イオン(8267)」の分析をしていきますぞ(。•̀ω-)b
業績サマリ
- 業績:売上8.6兆円、営業利益2,155億円
- 株価:2,198円前後
- 株主優待:オーナーズカード
- 配当利回り:1.79%
- ROE:2.49%
目次
イオンの株主優待・配当金は特殊
イオンの株主優待と配当金の情報は以下のとおりです。
内容 | |
単元株数 | 100株 |
権利確定月 | 2月と8月 |
優待回数 | 年2回 |
優待内容 | ①オーナーズカード
②ギフト券(3年以上保有者) |
優待利回り | 還元型のため計算不可 |
配当利回り | 1.7%程度 |
詳しく説明していきますね。
優待はオーナーズカードがメイン
イオンの株主優待は2種類あります。
- オーナーズカード
- ギフト券
それぞれ解説します。
①オーナーズカード
株主に緑色の「オーナーズカード」が配られます。
カードをイオンなどの店舗で毎日の決済時に見せると、後日に支払金額に応じたキャッシュバックが受けられます。
還元金額は保有株数に応じて変わります。
キャッシュバック率 | |
100株 | 3% |
500株 | 4% |
1,000株 | 5% |
3,000株 | 7% |
だいたいの方が100株の3%オフになるかと思います。
家の近くにイオン系列のスーパーがある人は、けっこうお得になると思います。
対象の支払い方法
- 現金
- WAON(イオンの電子マネー)
- イオンマークのカードでのクレジット払い
- イオン商品券
- イオンギフトカード
イオン以外のクレジットカードでは対象外になる点に注意が必要です。
対象の店舗
- イオン
- マックスバリュ
- ザ・ビッグ
- スーパーセンター
- ダイエー
- まいばすけっと
- アコレなど
詳細は利用可能な店舗リストもご覧ください。
どんな条件があるか
- 半年間有効
- 対象上限は100万円
- お客さま感謝デーとの併用は可能
- 返金方法は半年ごとに店舗でまとめて現金還元
優待終わるとまた新しいカードが送られてきます(100株以上を持ち続けた場合)
オーナーズカードの対象者と受取日
2月と8月の権利付最終日に100株以上保有している方が対象。直近だと2020年2月26日(水)、2020年8月27日(木)ですね。
カードが手元に届くのは権利付き最終日から1ヶ月後が目安。
②ギフト券
イオン系列で使えるイオンギフトカードがもらえます。
ただかなり条件が厳しく以下の両方を満たさないといけません。
ココがポイント
- 継続で保有期間3年以上
- 1,000株以上の保有
*なおこちらは通年ではなく2月末の権利付最終日の保有が対象
特典の詳細は以下の通りです。
キャッシュバック率 | |
1,000株 | 2,000円 |
2,000株 | 4,000円 |
3,000株 | 6,000円 |
5,000株 | 10,000円 |
イオンの株主優待はオーナーズカード目的で買う人が多い印象です。
3%還元であれば、月に3万円買い物をする世帯であれば1年間で10,800円分の還元が受けられます。
配当金
✓配当利回り
配当利回りは1.7%程度とそこまで高くはありませんが、悪くはない数字です。
配当利回りとは「株価に対する年間配当金の割合」のこと
✓1株あたりの配当金
毎年のように増配を繰り返しています。
次回は今回と同じ配当をすると企業側が予想を発表していますよ〜!
✓配当性向
配当性向は100%超えとかなり無理をした配当をしています。
もうすでに限界まで着ているので、今後配当の大きく伸びることはないでしょう。
配当性向とは、会社が事業によって得た利益をどのくらい株主に還元しているかを表す指標です。
イオンの株価チャートはけっこう上げている
まずチャートでどんな動きをしているのか見ていきましょう。
✓月足チャート(2002年〜)
ここ20年ほどのチャートです。
2009年のリーマンショックのときに大幅に株価を下げて以来、しばらく右肩上がりで伸びてきています。
✓週足チャート(2015年〜)
ここ数年でみると2018年ごろがピークだったことがわかります。
✓日足チャート
ここ1年間の株価の推移をみると、特に3月〜4月にかけて大きく乱高下しています。
✓日経平均と比較した月足チャート
日経平均株価と比べたチャートです。
動きはかなり似通っています。
日経が下がればイオンも下がると思っていいかもしれませんね。
*実数ではなく上限比率で比較したチャートです。
イオンの業績:右肩上がりが崩れそう
ここからはイオンの業績を20年以上さかのぼってくわしく見ていきます。
*2020年の業績は決算月である2月時点でのものです
✓売上高
イオンは8兆円規模の売上を誇ります。
2010年からずっと前年を上回っています。
しかし来期2021年は前年を下回るとイオン側は決算予想を出しました。
✓営業利益
2015年以降、上昇を繰り返しています。
でもこの間の決算で、来期の予想は大幅な減益予想が発表されました。
本当にこの予想通りになれば、前年の1/3程度まで落ち込むこととなります。
2009年のリーマンショックはおろか、2000年とか2001年の水準に近づくことになりますね。
売上と利益を表で見たい人もいると思ったので、別途まとめました。
✓営業利益率(売上高営業利益率)
営業利益率は2〜4%をウロウロすることが多いです。
そして最近は下落基調にあります。
来期はさらに下げると予想されていますよ。
2〜4%というのは、大企業としては決して高い数字とはいえません。どうしても店舗を持つ小売だと利益率は低くなりやすい傾向にあります。
営業利益率が高いほどライバルに対して優位に事業をこなせていることを表します
✓ROE
10%を超えているかが基準になり、イオンは高くないですしどんどん下がっていますね。
ROEと「企業が私たちが投資した資金を使ってどれほど効率的に利益を生んでいるか」を表します。
✓EPS
右肩上がりに増えている会社が優良企業と言われています。
イオンはなかなか厳しい状況が続いてますね。
EPSは「1株あたりの純利益」。投資家の資金を使ってどれだけ高い効率で利益を出しているかを表します。年々増えているのが理想とされています。
✓BPS
BPSも伸び続けているのが理想ですが、まあ問題ない数値です。
BPS(1株あたりの純資産)は企業の安全性を示す指標
✓フリーキャッシュフロー
けっこうマイナスのときが多いので、少し心配になります。
最近はプラスに落ち着いてきているように、これが続けば問題ないでしょう。
フリーキャッシュフローとは手元に残った自由に使えるお金。営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた数字。
✓現金等残高
2019年は1,141,171(単位:100万円)とけっこう残しています。
現金等残高とは「営業CF、投資CF、財務CFの動きの結果、手元に残った現金および預金や3カ月以内の短期投資など現金同等物の期末残高」です。
✓自己資本比率(%)
40~60%あれば優良企業といっていわれます。
イオンの自己資本比率は、なんと9.6%とかなり低いです。
実は一般的に銀行は自己資本比率が低いのが当たり前で、平均は9.31%(2014年時点)。44業種中で43位に位置しています(最下位は建設業)。その他の金融系も低いことが多いです。
*参考 EDIUNET
イオンは銀行やクレジットカード会社もやっているので、低くなりやすい傾向があります。
とはいえイオンは小売りもやっているので、さすがにもう少し改善してほしいですね。
イオンの事業内容は幅広い
会社概要:創業は実質250年くらい前
IR情報をベースに会社概要もまとめておきます。
内容 | |
創業 | 1758年、初代岡田惣左衛門が屋号を篠原屋として事業開始。場所は四日市。イオンとしては1926年 |
本社 | 千葉市美浜区中瀬1丁目5番地1(イオンタワー) |
社長 | 吉田昭夫(令和2年3月までは会長の岡田 元也が社長を務めていた) |
従業員 | 382人(連結156,739人) |
平均年齢 | 47.2歳 |
平均勤続年数 | 18.2年 |
平均年収 | 824万円 |
上場遍歴 | 1974年東証2部上場、1976年東証1部上場 |
*2019年決算月時点
大まかに「篠原屋」→「岡田屋」→「ジャスコ」→「イオン」と社名を変えています。その中でいろいろな企業と提携したり買収したりと、どんどん大きくなっていきました。
年収はあくまで持株会社のイオン(従業員わずか382人)のデータなので、グループ会社の社員はそれよりはかなり低いはずですよ〜
ちなみに会長の岡田元也(おかだもとや)さんは経歴を見たら岡田家の8代目当主。世襲ですね。最初からイオンに入社してサラリーマン経験を積み、そのまま社長→会長になっています。
2020年4月から吉田昭夫さんという元副社長が社長になりました。世襲が終わりましたね。吉田さんはイオンずっと一筋の典型的なサラリーマン社長です。会長がどこまで権力を持ち続けるか見物です。
しかしこのタイミングでの交代はかなり可愛そうですね。新コロの影響で業績低下は免れない時期。新社長画素の責任を負わされそう。
事業内容は実はかなり手広い
イオンはやっている事業はかなり多いのでまずは全体感を整理しますね。事業はなんと7つもあります。
事業名 | 内容 | |
1 | GMS(総合スーパー) | イオンのスーパー |
2 | SM(スーパーマーケット) | ダイエー、マックスバリュ、ミニストップ、カスミ、まいばすけっと、マルエツ、オリジン東秀(オリジン弁当)など |
3 | ヘルス&ウェルネス | ウェルシア |
4 | 総合金融 | イオン銀行、イオンカード |
5 | ディベロッパー | イオンモール |
6 | サービス・専門店 | イオンディライト |
7 | 国際 | 海外のAEON |
それぞれの事業の売上規模としては以下のとおりです。
✓売上比率
スーパー系の事業がかなり多くの売上比率を占めています。
✓営業利益比率
一方で営業利益となるとスーパーの割合は一気に減っています。
✓売上・営業利益比率を比較
改めて売上と利益を比べて見てみると、実は総合金融・ディベロッパー・ヘルス&ウェルネスで支えているのがわかります。
✓事業別で営業利益率をみると
さらに各セクターごとに利益率を比べると、総合金融とディベロッパーの利益率は凄まじいですね。一方でGMSやSMの利益率がとんでもなく低いことがわかりました。
スーパー以外にも事業を広げておいて本当に良かったですね。そして金融って本当に儲かるんですね(๑•̀ •́)و✧
「これもういっそスーパーやめれば?」と思う方もいるかもしれません。
しかしイオンの場合は、イオンの店舗で使うためにカードや銀行を作る人が多いので、金融事業だけをやるわけにはいきません。
店舗ありきで金融事業の利益が出ているようなものなんですね。
イオンの株価は割安か検証
データ面、市場面の両方から今後の株価予想をしていきます。
PERは高い
イオンのここ10年のPER推移です。
2016年から急激に上昇しています。
今この記事を書いている時点は68倍程度で極めて高いです。
なぜ高いのか?投資家の間では理由としてこちらの2つの線が濃厚となっています。
- オーナーズカードの株主優待が魅力的
- ビジネスモデルの変化
①はまさにそのままで、オーナーズカード欲しさに株を買う人が多いから。最低でも3%の還元はお得ですからね。
②について、イオンは以前ただのスーパーをやる事業だったのが、いまや利益率の高い金融やテナント業にも手を広げていること。
そしてプライベートブランド、たとえばトップバリュー製品を広げて他社と差別化をはかっている点が評価されているともいわれています。
しかし2014年とかは20倍だったことを考えると「明らかに高すぎるな」と思うのが正直なところですね。
PERは低いほど割安であることを示します。一般的には15倍以下が割安と言われていますが、会社によって違うと思っているのでこのように推移を重視する派です。
PBR(株価純資産倍率)でみるとやや割高
続いて過去のPBRの推移です。
今書いている段階だと1.03倍程度。
安いと思います。
PERは低いほど割安であることを示します。一般的には1倍以下が割安と言われていますが、優良企業で1を割ることはほぼないのと、会社によって割安を表す数字は違うと思っているのでこのように推移を見ています。
今後の予想:短期では苦しいが今後は経営次第
直近の動向
みなさんがいま直近で気になることは新コロさんの影響だと思います。
少なくともイオンが来年の決算予想で出した数字はかなりの下方修正だったので、マイナスの影響を受けることをかなり予想しているといっていいでしょう。
実際に2020年3月の売上状況がどうだったかをみていきます。
*引用 イオン決算説明会資料
- イオンのスーパーは微減
- イオン以外のスーパーは微増
- カードは横ばい
- イオンモールは大幅減
- 海外は大幅減
となっています。
自粛が本格化していなかった3月でこれですから、4月以降はもっと厳しくなるでしょう。
会社として今後の方針ですでに決めていることは以下のとおりです。
*引用 イオン決算説明会資料
日本国内は3月末、4月に休業や時間短縮が増えています。テナント料も負担すると発表しているのでコストも増えますね。
先ほどお見せしたとおり営業利益減の予想を出したのは、店舗自粛による業績悪化を懸念しての試算でしょう。
中国は運営最下位を予定していて、反対にアセアン(東南アジア)は自粛を強化する流れのようです。
【補足】ちなみにみんかぶでは現在の株価が2,198円に対して、目標株価が1,922円となっています。
成長戦略
今後改革をしていかなければ業績も株価も下がると思います。
一方でしっかりと手を売っていけばまだまだ伸びる余地はあるでしょう。
今後成長していくための鍵は大きく分けて5つだと思っています。
- 地方スーパーの買収
- 海外店舗の拡大
- オンラインの拡大
- 既存店舗の効率化
- 商品の品質向上
①地方スーパーの買収
イオンは地方のスーパーを提携・買収を進めていきましたが、今後もうまく進めていければ売上増そして規模の経済による1店舗あたりのコスト削減につなげることができます。
②海外店舗の拡大
海外はまだまだ成長余地が残っています、
今後確実に成長を続けれていければまだまだ利益を伸ばせるでしょう。
今は特にアジア地域へのイオンモール出店が主となっています。
国内では現在利益率が高いビジネスモデルなのでうまく行けばかなりの利益が見込めそうです。
③オンラインの拡大
ネットスーパーの需要は今後増え続けるでしょう。
イオンは2014年に国内全地域でネットスーパーが使えるようになりました。
今後利便性の向上や他者との差別化を図っていけば、成長の狙える領域です。
自動運転技術が本格したときにはさらにチャンスとなりそう。
④既存店舗の効率化
今のイオン(総合スーパー)は利益率が低すぎるのが課題に思えます。
1店舗あたりの売上をあげるか、コストを下げるかをしないといけません。
たとえばこんなものがあります。
- 魅力的な店舗の運営
- 立地の見直し
- 不採算店舗の閉店・改革
- レジのシステム改善
- 自動会計
- オペレーションの改善
もちろんこれ以外にもあるでしょう。
⑤商品の品質向上
イオンでは食品はもちろん、衣料品、生活用品など様々なものを扱っているんですね。
*引用 イオン決算資料、【補足】H&BCはヘルスアンドビューティーケアのこと
イオンセレクトを中心にしたPB商品も多く展開していて、いまのところそこまでうまくいっているようには見えないので、どこまで商品の魅力を高め、そして発信していくのかが鍵になりそうです。
正直セブンプレミアムに比べると、イオンのブランドは今一歩と考えている消費者が多いのではないでしょうか。
私個人としてもイオンのPB商品ってあまり買う気がしないんですよね。ほんと申し訳ないんですけどなんか不安なんです。
例えば食品だったら高くてもいいから国産とか産地を明確にしたものや、こだわりの原材料を使うとか、品質の良い商品を増やしてほしいなと思います。
ちなみに他にイオンは店内に以下の自社ショップを運営したりと取り組みをしています。
内容 | |
ここdeデリ | できたての惣菜を提供 |
IC(インナーカジュアル) | インナー用のカジュアルアパレル |
キッズパブリック | 子供向けの洋服 |
グラムビューティーク | コスメなどの提供・提案 |
ホームコーディ | インテリア・生活用品の販売 |
このように売場は日本トップクラスで持っている企業ですから、今後うまくヒットすれば一気に売上が伸びる可能性はあります。
さいごに
この記事ではイオンの株価や優待の分析をしてきました(o´・ω-)b
今回の内容を整理すると以下になります。
評価 | 概要 | |
営業利益 | △ | 来期は大幅マイナス予想 |
利益率 | ✗ | 2%台で低い |
ROE | ✗ | 2%台で引く |
EPS | △ | 不安定な動き |
フリーCF | △ | プラスとマイナスがひしめき合う |
株主優待 | ◎ | オーナーズカードがすごい |
配当金 | ◯ | 悪くはない |
PER | ✗ | かなり高い |
現状の株価は2,198円。単元は100株からしか買えないので、最低購入金額は219,800円です。
比較的安く買えるので、株価の上昇を狙う株というよりは「イオン系列のスーパーを使うから株主優待がほしい」という人向けですね。
100株単位で買えるぞって方は以下の証券会社がおすすめです。
これは本音で書いているので、とりあえず上記の2つにしておけば後悔はしないでしょう。
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